菅浩江著「五人姉妹」、読了です。
表題作「五人姉妹」は、五人のクローンが織りなす多様な生き様が、遺伝子への幻想を打ち砕くかのような短編です。はたして、同じ遺伝子でここまで多様な性格が作られてしまうのかは、そういった実験結果が存在しない(というか、存在してはいけない!)ため、わかりません。しかし、それこそSF的なイマジネーションで、では、自分を形成していった要素とは何なのだろうかと考えさせられる、面白い短編です。
菅は、仮想的な何か(アンドロイドが多い)に自己を投影させ、そこにできあがった幻影のような自己に、本当の自分の姿を見せてしまう天才だと思うのですよね。だから、二本目の短編「ホールド・ミー・タイト」や「夜を駆けるドギー」「賤の小田巻」「子供の領分」などの短編は、仮想的な領域にいるときにこそ真実が見えてくるような、そういった面白さがあります。
恋愛SF小説として秀逸な「ホールド・ミー・タイト」と「箱の中の猫」。この二作品に見られる細やかな心理描写は、もう、最高ですね。w 参りました。
「永遠の森 博物館惑星」(批判的なことしか書けそうになかったので、感想を書いていません)の面白さがよくわからなかった僕としては、「お代は見てのお帰り」がやはりよくわからなかったし、「秋祭り」もちょっと批判的な感想があります。
「秋祭り」って、支倉凍砂著「狼と香辛料」のホロが、村には必要のない神さまになってしまったみたいな、そんなことを言っているのですよね?w
神さまに幻想が抱ける人って、いいよなぁ。「やさしい神さま」なんて、太古の昔からいらっしゃらないように思う(仮に神さまがいると仮定して)のですが、それって僕のたんなる主観なのでしょうか?
もう一冊。
小川一水著「天冥の標V 羊と猿と百掬の銀河」、読了です。
シリーズも中盤ですね。これまでの四作品が派手で強烈に面白かっただけに、今回はすこし地味で説明くさかったかも?
そしてやはり、スペオペの古典と言えるスミスの「レンズマン」みたく、ふたつの勢力の代理戦争のような図式になってしまうのでしょうか?(おまえら、自分らで戦争しろよ!みたいな……w)
これって、小川の「導きの星」のときにも感じた危うさなのですが、下手するとただの薄っぺらなスペオペで終わってしまう可能性もあって……、いや、長編シリーズものにリアルタイムで付き合うと、読んでるこっちもはらはらしてしまいますね。(^_^;)
っていうか、小川は、こういうのが好きなのかも。
細かい部分をつまみ出してみれば、興味深い箇所もあるのですが……、う~ん、やっぱり不安だなぁ。(^_^;)
ひとまず、この作品は次回作に期待しましょう。
今後の読書予定です。
SFマガジンを古いものも含めて何冊か買ってしまったので、その中からいくつかつまみ食いします。その後は、「赤毛のアン・シリーズ」の残り三冊を読みます。
年内はこれくらいが限界だと思うので、それを読み終わり次第、今年の三冊を選びたいと思います。
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