2011年9月1日木曜日

特撮を知らないと損をする一例

 山本弘著「地球移動作戦 上下」、読了です。
 地球を移動させるためだけに書かれた小説ですね。(^_^;)
 SF的な大仕掛けや考証は楽しそうなのですが、物語としては少しつまらないなぁ。「妖星ゴラス」へのオマージュだそうで、僕は「妖星ゴラス」を知らなかったため、単純に普通のSFとして読んでしまったわけなのです。つまり、「妖星ゴラス」を知らない人間は読んじゃダメってことなのでしょうね。
 山本の作品には必ずトンデモを唱える個人や団体が登場し、書き手として山本は、自身が合理的な考え方である立場からその非合理さを暴き、糾弾しようとする姿勢がうかがえます。山本の合理さには善意や優しさも含まれていて、その思想が作品の中で開花したのが「アイの物語」なのだろうと思います。
 今回の「地球移動作戦」も、地球に接近するミラーマターでできた天体など存在しないなどとする団体やいくつかの宗教団体が登場し、事実をねじ曲げ、自分たちの主張を押しつけます。これに対する山本の善意とは、科学的な知識であり合理性です。こうやって書くと、山本の作品って、なんだか社会科学の人と自然科学の人の対立を描くJP・ホーガンの作品じみていますね。w
 こういった善悪の二極化のような現象が起ってしまって、それがこの作品の面白さを多少スポイルしているような気がしています。その二極化の中の、グレーゾーンのようなところにいたジェノアPが、テロリストの計画を未然に防いだり、設定年齢を低くして主人公の魅波ともっと絡めたり、もう少し物語を牽引してもよかったんじゃないでしょうか。
 たとえば、映画「セカンド・アース」を制作したとき、ジェノアPはまだ子供だったということに変更し、魅波と同世代にして、過去の遺恨を乗り越え、恋愛関係に進展。このふたりをくっつけてもよかったかも!w パーソナリティのよくわからないシリンクスのような女が相手よりは、面白そうな気がします。っていうか、魅波がシリンクスのどこを好きと思っているのかも、よくわからないんですよね。(^_^;)

 いやいや、違う。
 この小説の楽しさは、そんなところにあるのでなくて、あくまで「妖星ゴラス」へのオマージュだというところにあるのでした。忘れるところだったよ。(^_^;)

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